山川製塩工場跡

前回の記事で大山駅について触れたのですが、今回は当駅より約2kmほどのところにある史跡とういうか歴史遺産を見ていくことにします。

山川製塩工場跡

ここでは昭和18年頃から約20年間、温泉熱を利用した製塩事業が行われていました。塩はタバコなどと同様に専売品ではあったのですが、第二次世界大戦時時には塩の輸入のストップから需要が急激に逼迫し、公益専売制度についても機能不全に陥り、1944年(昭和19年)より自家製塩制度を認めることとなりました。

ちなみにこの記事を書くまで日本は周りが海に囲まれているので昔から塩には困ることなかったはずだ思い込んでいましたが、実は海水中に含まれる塩分の濃度は3%であり、そこから煮詰めないといけないので非常に手間がかかること、また、雨が降りやすいので天日干しだけでもほぼ不可能、岩塩の採れるところがないので工業用の塩を含めると、現在でも日本の塩の自給率は11%(2019年)で残りは輸入に頼っているそうです。

下の写真からして左半分が塩田で海水をぶちまけて塩分を濃くする作業、右手にある水槽に塩田で濃くなった砂を入れて濃い塩水を作り、中程にある温泉(地熱)で濃くなった塩水を煮詰めて塩の結晶を作る。という流れではなかろうかと推測しています。

製塩工場跡全景。左手は塩田、中〜右側にて海水を煮詰める作業をしたものと考えられる。

50数年前には操業停止したにもかかわらず、熱源自体は今でも変わらず出ているので製塩自体は可能なのかもしれません。

奥の方には地熱の湯気が今でも濛々と立ち込める。

ただし、海水を海岸から塩田まで持ち上げる作業、塩田に海水をまく作業、塩田の砂を回収して濃い塩水を作る作業、塩水を煮詰める作業いずれの作業も肉体労働の重労働であるのは間違いなさそうです。しかも非常に熱い熱源があるので危険を伴う過酷な作業でもあります。

この辺りで煮詰められていたのだろう。鰻温泉で見かけたスメ(蒸し器)のようにも見える。

天気によっては写真のような水槽の水面反射をみることができます。

空に浮かぶ雲が水面に反射している。ここに塩田で濃くされた海水が集められていたのだろうか。

今ではすぐ近くに”たまてばこ温泉”という絶景の温泉がありますので、そこに行った際はこちらの製塩工場跡を訪れてみるのもいいかなと思います。夕暮れ時は下のような光景が見られるので特にお勧めします。

夕暮れと製塩工場跡。絵になるのは夕時か。

おまけ、製塩工場跡の近くには通称スヌーピー山と呼ばれる(スヌーピーが寝ている姿に似ていることが由来らしい)竹山という、中国の水墨画に出てきそうな山もあります。

通称スヌーピー山と呼ばれる竹山。スヌーピーが寝ているように見えるらしい。

池田湖の黄金鳥居

年末も押し迫った今日この頃ですが、指宿市内の各地では12月に入るとすでに菜の花が咲き始めております。

というのは年明け早々「指宿なのはなマラソン」が開催されるため、コース沿いに菜の花が植えられています。

まずは定番のアングルから池田湖畔にて菜の花と湖と開聞岳の3点セットから。

池田湖畔にて菜の花と開聞岳

ここまではよくある光景なのですが(多分)、ここから先はあまり馴染みがない光景が続くと思います。

季節感がよくわからなくなるものから。

下の写真をご覧ください。少なくとも私は菜の花とコスモスが同時に咲いているのを初めて見ました。

場所は池田湖畔にあるえぷろんはうす池田の近くにて。今年はコスモスを見に行く機会がなかったので無理かなと思いましたが、まさかここで菜の花と同時に見られるとは予想していなかったです。

菜の花とコスモス

もう一点、予想していなかったものがあってそれはコスモス畑のなかに1輪のひまわりが咲いていたことです。

コスモスとひまわり

これで夏と秋と春の象徴である花が1箇所で揃うという珍しい光景ではありました。(撮影日2021/12/15日現在)

コスモスと菜の花と池田湖。開聞岳を添えて

まあ、噂によると池田湖にはイッシーと呼ばれる恐竜なのか怪獣なのかよくわからない未確認生物が生息しているらしいです。

池田湖で生息しているらしいイッシーと云われる何か

ようやくここから今回のタイトルに関わる話題になります。

池田湖には昔から神の御池と呼ばれており、龍神伝説もあります。

「往昔,池田村の内,池端門の農夫四郎といへる者の祖先某,一日,某家の婚礼に往くとて池辺を通行せしに,人頭龍身なる者,水渚き菰蒲の叢中に臥居たりしかば,某,短刀を抜きて彼の龍の首を斬る。龍,傷つき紅血を散して水中に入る。其の夜,某,俄かに病んで死す。某の妻,又,俄に病をうけ,狂言して曰く『我は此の池の龍王なり。我を殺せし故に汝が子孫を悉く絶すべし』と。」

その後親族が社を建てて罪を償うと謝罪すると龍王は怒りを鎮めて妻の狂気も治ったそうです。その社が今の池王明神にあたるそうです。

私が小さかった頃、親にこの池に落ちると死ぬと云われていたこともあり恐れ多いイメージが今でも残っております。

さて、先ほどの話で出てきた龍神と関係するのかどうかはよくわからないのですが、池田湖の道沿いにパワースポットと書かれた謎の立て看板が何枚か出てきます。その看板通りに車を進めると下のようなものが見えてきました。

黄金鳥居と開聞岳。鳥居左手には昇龍が鎮座している。

いわゆる黄金の鳥居が見えてきました。アングルによっては鳥居の中に開聞岳を収めることもできます。鳥居の左手には龍神伝説にちなみ昇龍も鎮座していました。

ではなぜここに金の鳥居があるのか?

かつてこの地の近くに大谷鉱山がありました。この記事を書くにあたり初めて知った鉱山なのですが、1844年発見。金、銀、亜鉛が採れたそうです。ただ、当時の技術では採掘が困難で4年後に休止、明治になった1887年に採掘再開したものの第二次世界大戦開戦後には閉山したそうです。金の鳥居は近くの住民により大谷鉱山があったことを語り継ぎたいという思いから建てられたそうです。

黄金鳥居をメインにして開聞岳を眺める

鳥居傍にある昇龍の中はこんな感じでした。宝くじ等載せれば当選確率アップするのでしょうか?

昇龍の中身
金運上昇するのだろうか
金色のベンチも供えられており、ここから池田湖と開聞岳を眺められる。

他にも池田湖周辺には面白い看板や施設も多々あるので訪れるのにはおすすめのスポットです。

という季節感わからない、それと初めて知った歴史やパワースポットらしきものを載せて今年のクリスマスイブ(すき)は締めようと思います。